有田の町の高台に広がるアリタセラは、さながら、有田焼専門のショッピングモール。一口に有田焼と言っても、商社によって個性もラインナップもまったく異なります。そこでまずは22の有田焼販売店やギャラリーなどが軒を連ねるこの場所で、各店を覗いて自分の好みに合う商品やブランドを見つけてみてください。

写真提供／アリタセラ

有田焼の創業400年の際に誕生したブランド「2016/」の作品を販売する人気店がこちら。国内外16人（組）の著名デザイナーがそれぞれの個性を表現した有田焼をデザイン。確たる技術を持った窯元がそれらを形にして、ここでしか出合えない器が数多く並びます。ギャラリーのような空間でカフェ利用もおすすめです（コーヒー500円）。

明るく開放感のベーカリーカフェは、明治期創業の老舗商社まるぶんのカフェショップ。商社が取り扱う有田焼でパンやコーヒーを味わえるので、使い心地を確かめた後、隣のショップ空間でゆっくり商品を選ぶことができます。定番のクロワッサンから、有田豚を使ったものまで、30種前後が並ぶこだわりのパンも見逃せません。

写真提供／MARUBUN SHOP & BAKERY CAFÉ

有田駅近くにある佐賀県陶磁器工業協同組合の中に2016年にオープンしたarita mononosu。有田をはじめ、伊万里や嬉野まで含めた約60の窯元の作品が並び、購入することもできます。また、焼き上がると青色になる呉須で、素焼きの器に絵を描く絵付け体験（1200円〜）も2023年4月より再開。30分〜60分ほどで気軽に体験できます。

有田で特に散策が楽しい通りといえば、古い商店や民家などのレトロ建築が多く残る、有田駅から上有田駅の間の通りでしょう。境内を線路が横切る陶山神社は、美しい磁器製の鳥居が見もの。そしてメイン通りから一本裏に入ると、映え写真スポットも。登り窯に使われていた耐火レンガを再利用したトンバイ塀が続く細道は、有田を象徴する風景です。

有田の締めくくりは、2500客以上の有田焼カップが店内に並ぶこちらへ。温かい飲み物を注文すると、ずらり並んだ中から好きなカップを1客選べ、その器で飲むことができます。また、有田名物「ごどうふ」を使った「黒蜜きなこパフェ」（715円）などのスイーツもおすすめ。食後は隣接のやきものショップでお買い物も楽しめます。

写真提供／ギャラリー有田（４枚目）

秘窯の里大川内山は江戸時代に佐賀藩（鍋島家）が将軍家や老中など幕閣への献上品を製造していた場所で、製作技法が外に漏れないよう番所も設けられていました。めおとしの塔は鍋島藩窯時代から伝わる、焼物を叩いて音色で選別した「めおとし」の技法を先端技術のICで再現し、澄んだ音色を響かせ、日本の音風景100選にもえらばれています。

秘窯の里大川内山では現在約30軒の窯元があり、やきものを製作しています。三方を山に囲まれ窯場の煙突や石畳の坂道が印象的で散策を楽しむことができます。鍋島藩窯橋は陶片やタイルを使い美しく装飾され、欄干には伊万里焼きの壺も。春は桜、秋は紅葉と四季を楽しむことができます。

公園内では、鍋島藩窯の名残が点在しており、当時の文化に触れることもできます。窯跡に加え、登り窯や陶工の家、陶片とトンバイで制作された大壁画も密かなSNS映えスポットです。

秘窯の里のシンボルにもなっている煙突が目を引く、1883年創業の「青山窯」。江戸時代の鍋島藩窯にルーツを持つ老舗が、数年前から始めたセカンドラインの直営店がSEIZAN＋（セイザンプラス）。日常の食生活を楽しくしてくれそうな、ポップでカジュアルな器の数々は常にアップデートされ、訪れるたびに新たな出合いがあります。

カフェのような外観の畑萬陶苑（はたまんとうえん）は1926年創業。伝統的な染付の酒器から、色合いや手触りにこだわった器、香水瓶など、独自の技術を駆使した作品の数々が特徴です。1〜2階が展示・販売の店舗、奥が十数人の職人さんが働く工房となっており、希望者は見学もできます（無料、平日のみ）。

50年以上にわたり伊万里市内で飲食店を営んできた女将さんの手料理が評判のお店。名物は契約農場から仕入れる伊万里牛を使った料理で、ネック肉150gを使ったビーフシチュー（2500円）は、デミグラスソースから手作り。スープやドレッシング、豆腐までどれも自家製と、リピーターが多いのも納得です。