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写真:ガイドの説明を聞いている女性

窯元巡りにプラスα♪ 有田焼の歴史と魅力をぶらり深堀り旅

日本を代表する伝統工芸品のひとつ、有田焼。透き通るような白い磁肌に繊細な絵付けが特徴で、その産地である有田町には現在も100以上の窯元がものづくりをしています。焼き物の町ならではの歴史の面影を感じながら、窯元やギャラリーを散策するのが定番ですが、せっかくなら「日本の磁器発祥の地」にまつわるストーリーを肌で体感してみてはいかがでしょう。

有田焼誕生の原点・泉山磁石場へ潜入!

写真:採石場

17世紀のはじめ、日本で初めて磁器生産に成功した有田。実はそのすべての始まりとなったのが、この採石場「泉山磁石場(いずみやまじせきば)」なのです。朝鮮の陶工・李参平(りさんぺい)らが原料になる真っ白な石を発見したのがきっかけで、それまでは原料に土を使った陶器がほとんどでしたが、この磁石場を見つけた頃から石を原料にした磁器が広まったといいます。

写真:ガイドの前田さん

ガイドツアーに申し込むと、有田町を愛する観光ガイドの方々がこの歴史的スポットを案内してくれます。分かりやすい説明で歴史や背景について話してくれ、有田焼への理解も深まること間違いなし。今回同行してくれたのは、生まれも育ちも有田町だという前田俊郎さん。「磁器は薄く華奢なイメージがありますが、陶器より硬く耐久性にも優れているんですよ」。

写真:泉山磁石場での説明を聞く参加者

大迫力の景観が広がる泉山磁石場ですが、一部が国の史跡に指定されていること、また安全面を考慮したことから、通常はこの展望エリアからのみ見学が可能です。

写真:磁石場を歩く様子

しかし! このガイドツアーに参加すれば、特別に磁石場の中央付近まで入場することができるのです。この特典は見逃せませんね。

写真:ガイドの説明を聞く様子

まるで特撮の舞台になりそうな白い岩場の中央に立ち、より間近で山肌を鑑賞。昔はすべて手作業で掘っていたなんて、とにかく大変な作業だったに違いありません。「現在はここでの採掘はほとんどなく、有田焼の材料には熊本の天草の陶石などを使っています」。

写真:採石場

400年もの間、山をえぐるように採石していったとあり、どれも不思議な形をしています。陶石自体は真っ白ですが、空気に触れて数年経つと含まれる鉄分により表面が黄色く変色するそうで、山肌を見るとそれが分かります。有田焼の長い歴史を支えてきたのだと思うと、感慨深い気持ちになりますね。

写真:マンホールの蓋を眺める様子

展望エリアに戻ると、アニメ『機動戦士ガンダム』のキャラクター「グフ」をデザインしたマンホールの蓋を発見! 泉山磁石場独自のデザインで、このマンホールを撮影しに訪れるガンダムファンも多いそうです。

泉山磁石場は自由に訪れることもできますが、より深いストーリーを学び、より迫力ある景観を楽しみたいなら、ぜひガイドツアーを活用してみてくださいね。

スポット情報(2023年11月16日現在) 

スポット名 泉山磁石場
営業時間 日没まで
住所 佐賀県西松浦郡有田町泉山1-4
電話番号 0955-43-2121(有田観光協会)
定休日 なし
アクセス JR上有田駅から徒歩で15分、タクシーで8分、波佐見有田ICから車で10分
備考 「日本磁器発祥の地・泉山磁石場ガイドツアー」
参加費:500円
所要時間:約20分
対象年齢:小学生以上
開始時間:(1)10時 (2)11時 (3)13時 (2)14時
対象期間:2023年4月1日から2024年3月31日
除外日:年末年始(12月28日から1月5日)
集合場所:泉山磁石場前駐車場
予約締切:3日前(午後0時迄)
催行人数:4名から10名
ホームページ 有田観光協会ウェブサイト(外部リンク)



 

泉山磁石場

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まるで野外美術館!? 有田焼の芸術品が点在する「陶山神社」

写真:陶山神社からの眺め

有田焼の魅力に触れる上で欠かせないスポットが、町を見下ろす高台にある「陶山神社」です。正式には「すえやま」と読みますが、地元では「とうざん」の愛称で親しまれている焼き物の神様。創建は1658年、敷地の中には泉山磁石場を発見した李参平の碑もありますよ。

写真:鳥居をくぐる様子

ゆっくりと参道を上って鳥居に到着。あれ? 鳥居の手前、参道を横切るように線路が走っていますね。

写真:鳥居の前を走る電車

そうなのです!陶山神社は、境内をJR九州の佐世保線が走っている珍しい神社としても話題。踏切はないので横断の際は、しっかり左右を確認して渡るようにしましょう。
電車が通る瞬間に出会いたいなら、有田駅の発着時刻から上りは2分から3分プラス、下りは2分から3分マイナスすれば通過時刻の目安になるそうです。
撮影の際には線路の中での撮影は行わず、安全に気を付けて撮影をお願いします。

写真:拝殿への階段を上っている様子

拝殿へと続く急な階段の脇には有田焼の灯篭が並んでいます。芸術作品を鑑賞しながらの参拝なんて贅沢ですね。

写真:陶器で作られた鳥居

約70段の石段を上ると、高さ3.7m、幅3.9mの美しい磁器製の鳥居が出迎えてくれます。1888年に陶工たちが寄進したもので、国の登録有形文化財に指定されているのだそう。

写真:近くで見る陶器で出来た鳥居

白磁に淡いブルーの唐草文様が描かれていて、青空に映える美しさ。

写真:階段から眺める社殿
写真:陶器の置物が拝殿近くにはたくさんあります

そのほかにも、拝殿の周辺には磁器製の狛犬や、大水甕、灯篭などが奉納されていて、「有田焼の野外美術館」と称されるのも納得です。

写真:オリジナルのお守り

参拝後に社務所に立ち寄ると、磁器製の可愛いお守りを発見。なんと神社内にある窯で神職自らが焼き上げているとのことで、ご利益も期待できそうです。このほかオリジナルの有田焼御朱印帳も大人気だとか。

春は桜、秋は紅葉に彩られ、さらに美しさを増す陶山神社。有田を訪れたら立ち寄りたいスポットです。

スポット情報(2023年11月16日現在) 

スポット名 陶山神社
営業時間 9時から17時 (社務所)
住所 佐賀県西松浦郡有田町大樽2-5-1
電話番号 0955-42-3310
定休日 なし
アクセス JR上有田駅から徒歩で20分、タクシーで7分、波佐見有田ICから車で10分
ホームページ 陶山神社(外部リンク)



 

陶山神社

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レトロな駅舎にほっこり。JR上有田駅

写真:JR上有田駅の入口
写真:JR上有田駅の中の様子

泉山磁石場、陶山神社共に、最寄り駅となるのがJR上有田駅。普通電車のみ停車する小さな無人駅ですが、写真映えしそうな懐かしい佇まいが素敵です。有田焼の茶碗や鉢、湯呑みなどをピアノの鍵盤のように並べて演奏する「碗琴」といった楽器も置いてあります。券売機はなく、切符は駅前の「原田酒店」で購入するというのもユニーク。レンタサイクルも用意されているので、自転車での町巡りもおすすめです。

日本のみならず世界を魅了する有田焼。陶工たちが辿ってきた歴史に想いを馳せながら、ぶらり旅を楽しんでくださいね。

おすすめの立ち寄りスポット

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