佐賀県にある代表的な温泉地は4つ。「日本三大美肌の湯」の一つに数えられる嬉野温泉、鍋島の殿様も愛した武雄温泉、山あいの静かな地に広がる古湯温泉、有明海に臨むたら竹崎温泉。
その歴史やお湯の特徴から温泉地の楽しみ方までをガイドします。
4温泉地それぞれで個性が異なりますのですべてめぐって、佐賀の温泉ツウを目指しましょう。
嬉野温泉の紹介
美肌の神様もすまう嬉野温泉は、トロトロ美肌湯にお茶にやきものと、お楽しみがいっぱい
嬉野の湯は「日本三大美肌の湯」
嬉野温泉は、奈良時代に編纂された『肥前風土記』にも名を記す古湯です。その特徴はなんといってもトロトロとした浴感。泉質は美肌温泉の代表格といわれるナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉で、「日本三大美肌の湯」に数えられる名湯です。
温泉はレトロな洋館の公衆浴場「シーボルトの湯」のほか、立ち寄り入浴ができる旅館も多くあります。
気軽に楽しむなら、温泉街に点在する3つの無料の足湯はいかがでしょう。「湯宿広場」には温泉ミストによる足蒸し湯もあります。
嬉野温泉で美肌を目指すなら、温泉街にある「豊玉姫神社」への参拝も欠かせません。主祭神は豊玉姫命で、神の使いであるなまず様とともに美肌にご利益があるといいます。なまず様へは美肌やしわ退散など願いを込めて「願い水」をかけながら参拝します。
嬉野は全国でも有数のお茶どころ
嬉野は日本有数の茶どころです。霧深い山あいで、昼夜の温度差が高く、日照量などおいしいお茶ができる条件が揃っています。
日本茶の起源でありながら、現在は日本茶全生産量のわずか0.02%程度といわれる希少な「釜炒り茶」が作られています。その製法は一般的な「蒸し」とは異なり、釜で炒るもので、茶葉が丸みを帯びているのが特徴です。
お茶の歴史や製法、うれしの茶のおいしさの秘密などを学ぶなら「うれしの茶交流館 チャオシル」へ。お茶の淹れ方教室や釜炒り体験など、1000円以下で楽しめる体験プログラムも充実しています。収穫シーズンならぜひ茶摘み体験に挑戦しましょう。
水玉模様でおなじみの肥前吉田焼
肥前吉田焼の里は温泉街から車で10分ほど離れた山あいにあります。400年以上の歴史をもちながらも長い間、有田焼に分類されてきました。そのため、肥前吉田焼の名を知る人は少ないかもしれませんが、紺色の水玉模様は見たことがある人も多いはずです。
吉田焼では日常食器を中心に生産。近年は新しいデザインを積極的に取り入れる窯元も増え、幅広い年齢層に支持されています。
そんな吉田焼の魅力を知るには「肥前吉田焼窯元会館」へ。窯元の作品を一堂に会するほか、絵付けや手びねり体験もできます。
嬉野温泉
うれしの茶交流館 チャオシル
肥前吉田焼窯元会館
武雄温泉紹介
竜宮城を思わせる朱塗りの楼門がシンボルマーク。名だたる歴史人も楽しんだ武雄温泉
1300年間こんこんと湧き続けるやわらかな湯
武雄温泉は、1300年ほど前に編纂された『肥前風土記』に登場する古湯です。湯はやわらかなアルカリ性単純温泉で、「美人の湯」といわれています。
武雄温泉のシンボルマークともいうべき、朱塗りの楼門は、佐賀県唐津生まれ、東京駅を設計したことでも知られる辰野金吾氏によるものです。楼門前から伸びる通り沿いに温泉宿が並んでいます。
楼門をくぐると、「元湯」や「蓬莱湯」、「鷺乃湯」の公衆浴場があります。貸切風呂として利用できる「殿様湯」は、江戸時代、鍋島藩主専用として造られた総代理石の浴場。シーボルトや宮本武蔵、伊達政宗、伊能忠敬なども入浴したという記録が残ります。
やきものの町、武雄で陶芸体験
湯の町、武雄には「やきものの町」という一面もあります。文禄・慶長の役の際、武雄領主に同行した陶工たちによって始まったとされる武雄焼ですが、磁器もあれば陶器もありとさまざま。90ほどある窯元それぞれで個性あふれる作品が作られています。
一度に12万個の湯のみを焼成できる世界一の容積を誇る登り窯をもつ「飛龍窯」では陶芸体験ができます。
難しそうなロクロも先生が丁寧に教えてくれるので、初挑戦でも30分程度で“使える”器ができあがります。あとは全4色から好みの釉薬を選び、1〜2カ月後、焼き上りの到着を待つだけです。
武雄グルメといえば、野菜たっぷりちゃんぽん
温泉街から車で15分ほど、「ちゃんぽん街道」と呼ばれる場所があります。「武雄・北方ちゃんぽん」を提供する店が並ぶ国道34号沿いです。
街道で一際賑わっているのが、昭和24年創業の「井手ちゃんぽん 本店」です。その特徴はなんといっても山盛りの野菜。強火で一気に炒められたそれはシャキシャキと小気味よく、野菜の甘みが溶け出したスープはなんともまろやか!
ちゃんぽん820円〜。昭和の始めごろ、町の炭鉱マンたちの胃袋を支えたちゃんぽんは、今も安くてうまくてゲンキがみなぎる、最高の一杯です。
武雄市観光協会
武雄温泉 殿様湯
飛龍窯工房
井手ちゃんぽん 本店
古湯温泉
佐賀タウンから気軽に行ける!のどかな山峡ロケーションと“ぬる湯”に癒される古湯・熊の川温泉郷
約38℃とぬるめのやわらかな湯が湧く
JR佐賀駅から車で30分ほど、標高200mの山あいにある古湯・熊の川温泉郷。初夏には蛍が舞う嘉瀬川沿いに15軒ほどの宿が並んでいます。
湯はpH9.5のアルカリ性単純温泉。38℃前後とぬるめで、ぬるぬるとした湯触りであることから「ぬる湯」と呼ばれています。石畳の温泉街には無料で利用できる足湯があり、気軽に楽しむことができます。
古湯といえば、映画祭ファンも多くいます。1984年にスタートしてコロナ禍を除き毎年開催している秋の風物詩。ゴザの上で観賞するスタイル、監督や俳優さんと直に触れ合えることが人気のポイントです。
富士町観光案内所
たら竹崎温泉
目の前に広がる有明海が「絶景」と「絶品」もたらす、たら竹崎温泉
美肌の湯に浸かり、有明海を一望する贅沢
多良岳の麓、有明海に面したたら竹崎温泉。泉質はナトリウム-炭酸水素塩温泉で肌をしっとりなめらかにしてくれるといわれます。9軒の宿がありますが、ほとんどが有明海を一望できる絶好ロケーションです。
月の引力を感じるフォトジェニックスポット
たら竹崎温泉のある太良町のキャッチフレーズは「月の引力が見える町」。これは、最大6mという日本一の干満差をもつ有明海にちなんだもの。月の引力によって起こる現象である海の満ち引きが目にみえてわかることをうたっています。
「大魚神社の海中鳥居」では、「月の引力が見える町」ならでは風景を楽しむことができます。満潮時は鳥居の上部まで海水に浸りますが、干潮時は一転!鳥居の下を歩いてくぐれるのです。時間によって表情を変える神秘的な風景です。
有明海の恵み「竹崎カキ」と「竹崎カニ」
そんな有明海はおいしい恵みをもたらしてくれます。その一つがカキ。プランクトンなどエサが豊富な海で育った「竹崎カキ」は肉厚で旨み濃厚!有明海沿いの国道207号を中心に十数軒のカキ焼店が建ち並ぶ「たらカキ焼海道」は11月末から春先にかけて大盛況です!
「肥前屋」は自家製麺のうどん店や朝から焼きたてが並ぶパン屋、キウイバーガーが人気のカフェも併設するユニークなカキ小屋です。
快適な屋内ソファー席もありますが、天気がいい日はぜひ有明海を眺めながらカキ焼きを楽しみましょう。炭代として1席300円がかかるだけで、貸出グッズが充実しています。
カキは1カゴ1000円。温度管理がしっかりされているので安心して味わうことができます。カキを殻付きのまま缶に入れ酒で蒸しあげる「カンカン焼き」も名物。焼きとはまた違ったまろやかな味わいが楽しめます。追加料金なしというのもうれしい限り。
はまぐりやあわび、伊勢エビなどの海鮮系のほか、肉類、ご飯ものまで揃っています。自家製米を使ったおにぎり(100円〜)も隠れた人気品です。
竹崎カキと並ぶ、有明海の2大名物といえば、竹崎カニ。たら竹崎温泉の旅館に泊まって味わうのがおすすめです。卵をもった冬のメス、カニ味噌が味わい深い夏のオスと、一年を通して楽しめます。
みかんに海産物、太良の“おいしい”を持ち帰る
太良の特産品を手にいれるなら有明海沿いにある「道の駅太良 たらふく館」へ。
竹崎カニや竹崎カキといった地元ブランドを購入することができます。
たらみかんも特産品の一つ。9月上旬から翌5月ごろまで年間80品種のみかんが店頭に並びます。
地元農園のみかんジュースを使ったたらみかんソフトクリームもぜひ。ほどよい酸味と甘みが楽しめます。