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メインビジュアル:ティーツーリズム

大人の休日。-プレミアム体験in佐賀-

あそぼーさが編集部
2023年03月06日

佐賀を旅するなら、おいしい食べ物やきれいな景色、観光名所を楽しむのに加え、“佐賀でしかできない特別な体験”をしてみませんか。きっといつも以上の特別感あふれる旅になるはずです。

名尾手すき和紙工房(佐賀市)

写真:「名尾手すき和紙工房」外観
写真:和紙の原料となる梶の木の皮

佐賀市大和町の北部、脊振山の麓に位置する名尾地区は、紙すきに欠かすことのできない清流に恵まれ、原料となる梶(かじ)の木が多く自生していたことから、江戸時代から和紙作りが行われてきました。昭和の初めには地区全体で約100軒が和紙を作っていましたが徐々に減少し、現在は「名尾手すき和紙工房」だけがその技術や伝統を受け継いでいます。
名尾和紙の特徴は、一般的に和紙の原料として使われる楮(こうぞ)ではなく、梶の木を使用すること。楮に比べて繊維が2倍から3倍長く、繊維同士が絡み合うので薄く破れにくい和紙を作ることができます。そのため、古くから提灯紙や障子紙として重宝されてきました。今でも博多祇園山笠の提灯をはじめ全国の伝統工芸品や旅館や施設の壁紙に用いられるほか、世界的なアパレルブランドのカタログに使用されるなど、その価値はますます高まっています。

写真:和紙の原料
写真:手すきの様子

梶の木を育て、皮から繊維を採り、手ですくという江戸時代から変わらない方法で今も職人によって作られる名尾和紙。その工程は130から140にも及ぶそうです。工房は開放されているので、作業が行われている時は自由に見学することができます。10名以上の場合、紙すき体験を申込むことも可能です(※要事前申込み)。

写真:ギャラリー&ショップ店内の様子1
写真:ギャラリー&ショップ店内の様子2

工房に隣接する築200年ほどの民家を改装したギャラリー&ショップでは和紙製品の購入のほか、一人からできるワークショップ(予約可)に参加することができます。和紙は色や大きさ、柄などさまざまな種類を用意。インテリア用や書道の作品作りなどに和紙を求める方が多いそうです。また、扇子やレターセット、御朱印帳、ポストカードなどの和紙製品は現代の感覚に合う洗練されたものが並んでいます。

写真:体験で使用する和紙を4枚を選んで持っている手
写真:体験中の様子

こちらでおすすめの体験は「ぺたぺたパネルワークショップ」です。色とりどりの和紙が並ぶ棚から好きな4枚をセレクト。自由な発想で木のパネルに貼っていきます。選んだ和紙のほか、アクセントになる和紙を使うこともできますよ。どの色を大きく使うか、どんな模様にするかなどあれこれ考えを巡らせるのが楽しい時間です。

写真:完成したパネルを持つ様子
写真:うちわのサンプル

完成したパネルがこちら! 透ける和紙をカラフルな和紙に重ねるなどの貼り方や、色使いの違いに個性が表れますね。小さなお子さんも参加できますので、ご家族でパネルを作っておうちの壁に並べるのも素敵です。パネルのほか、うちわ作り(1,500円)も人気です。気軽に参加できますので、和紙の手触りや風合いを感じながら創作を楽しんでみましょう。
どちらも当日持ち帰り可能です。

<名尾手すき和紙工房>

住所:佐賀県佐賀市大和町大字名尾4756(リンクをクリックするとマップが開きます)
電話:0952-63-0334
営業時間:9時から17時
定休日
・工房:土・日・祝
・ギャラリー&ショップ:定休日なし ※年末年始・お盆休みあり
駐車場: 6台

体験プログラム<ぺたぺたパネルワークショップ>

開催日時: 毎日9時から17時(受付16時まで)
受付人数:1名から
所要時間:30分から40分
体験料金:2,000円/1名

【伝統工芸】名尾手すき和紙

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Tea tourism-ティーツーリズム-(嬉野市)

写真:嬉野の茶畑の風景
写真:茶畑を背景にしたティーセレモニーの様子

お茶の産地として全国的に知られる嬉野は、室町時代の1440年頃に中国大陸から移住した陶工により茶栽培が始まったとされる場所。長い歴史と共に成熟した技術をもった茶農家が現在も盛んにお茶の生産を行っています。2021年に行われた「全国茶品評会」では嬉野の茶農家が農林水産大臣賞を3年連続で受賞したほか、優秀な産地に贈られる産地賞1位を受賞するなど、名実ともに認められたお茶どころです。

ここ嬉野で2017年に始まったのが、日本茶をテーマにした新しい旅のスタイル「Tea Tourism(ティーツーリズム)」です。若手の茶農家や窯元、温泉旅館経営者を中心とする「嬉野茶時(うれしのちゃどき)」プロジェクトが手がけており、専属の茶師が滞在中のアテンドを行う「茶泊(ちゃはく)」、自転車で茶畑や観光地を巡る「茶輪(ちゃりん)」、嬉野茶を片手に歩きながらまち歩きを楽しむ「歩茶(ほちゃ)」など、嬉野ならではの旅の体験が提供されています。なかでも注目を集めているのが、嬉野の山々に広がる茶畑に設置された“茶を愉しむ空間”で、茶農家によるティーセレモニーを体験できる「茶空間体験」です。

写真:茶畑を背景にしてお茶を入れる様子
写真:茶葉を秤ではかる手元

3か所の茶空間から今回ご紹介するのは、嬉野市街と美しい山並みを見渡す「天茶台(てんちゃだい)」です。茶畑の真ん中に造られた広々とした茶室はまさにお茶を楽しむ特等席。特別感と開放感に満ちあふれ、これから始まるティーセレモニーへの期待が高まります。

ティーセレモニーを司るのは茶農家を営む茶師。この日は「茶屋二郎」の松田二郎さんがお茶を淹れてくれました。松田さんは全国のお茶の産地を巡った結果、うれしの茶に魅力を感じて2016年に長崎県から嬉野に移住。「副島園」で5年間の修行を経て独立した方です。茶師によって内容は異なりますが、3種類のお茶と2種類のお菓子が提供される「三茶二菓(さんちゃにか)」が主なスタイル。お茶を淹れる前や合間に、プロジェクトの紹介や松田さんのプロフィール、お茶の説明などの話を交えながらセレモニーは進んでいきます。

写真:煎茶を淹れる手元
写真:煎茶と肥前吉田焼の器に盛られた茶菓子

まずは煎茶から。お茶を測る、お湯を適温に冷ますなど所作のひとつひとつが美しく、見入ってしまいます。煎茶は天然玉露といわれるお茶の品種「アサツユ」を使用し、とろりとした鮮やかな緑色が特徴です。今回は旅館「和多屋別荘」の和菓子職人による練り切りが添えられていますが、セレモニーを担当する茶師によりお茶に添えるものも変わるそう。豆腐のおからを肥料に栽培している茶師は、豆腐にまつわる食材を使用したものなど、茶栽培の特徴に合わせたお菓子なども楽しみのひとつですね。和菓子が載るお皿は400年以上の伝統を守られ、嬉野市で製造されている肥前吉田焼です。

写真:「天茶台」でお茶を楽しむ様子

丁寧に煎れられたお茶は格別の味わい。木々の葉ずれや鳥のさえずりだけが聞こえる非日常の空間でいただくことで、五感が研ぎ澄まされ、より一層お茶の味に集中できます。

写真:焙じ茶
写真:レモン緑茶とマカロン

深くじっくりと焙煎することで香り高く、すっきりとした味わいに仕上げた「焙じ茶」。そして、緑茶に武雄産のレモングラスとレモンピールをブレンドしたフレーバードティー「レモン緑茶」。同じお茶の木から採れた茶葉が、製法の違いやブレンドによってさまざまな表情を見せてくれます。爽やかな香りが口に広がるレモン緑茶は和多屋別荘内「ピエール・エルメ」のマカロンと一緒にいただきます。

写真:「茶屋二郎」の茶師、松田さん
写真:青空を背景にした「天茶台」

「この空間でお客さまと共有する時間を大切に、心を込めてお茶を淹れています。茶農家と交流することは普通に旅をしているだけではなかなかないことだと思いますし、お茶を目の前で飲んでいただけるのは、私たち生産者にとっても貴重な経験です。嬉野ならではの体験をぜひお楽しみください」と松田さん。今年は茶師の指導を受けたコンシェルジュの登場により、これまで農繁期のため体験ができなかった4月から6月も予約を取れるように進めているそうです。季節ごとに表情を変える茶畑に囲まれた特別な茶体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。

体験プログラム<Tea tourism 茶空間体験>

開催日時:ホームページのスケジュールを参照 ※完全事前予約制
受付人数:2名から ※最大10名程度
所要時間:約60分
体験料金:11,000円/1名 ※1名利用の場合は22,000円

【体験】ティーツーリズム

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幸楽窯(こうらくがま)(有田町)

写真:「幸楽窯」外観
写真:有田焼のティーカップ

日本で初めて磁器が焼かれた産地として知られるやきものの町『有田』で1865年に創業し、150年以上の歴史を誇る「幸楽窯」。分業制が一般的な有田ではめずらしく、鋳込みから素焼、絵付け、本焼まで全ての工程を行っている窯元で、家庭用食器から割烹食器まで幅広いやきものを生産しています。丸尾地区の窯にはギャラリーやショップが併設されていて、気軽に足を運ぶことができます。

写真:トロ箱が積まれた倉庫の様子
写真:トロ箱に詰められた焼き物の器

こちらで人気を集めている体験が「トレジャーハンティング」です。木造校舎を移築した味わい深い倉庫に入ると、さまざまな器が溢れんばかりに詰まったトロ箱がずらり。長い年月眠っていたデッドストック商品や“しかかり品”と呼ばれる未完成の器などが数えきれないほど積みあがる様子はまさに宝の山。ここから“トレジャー=宝物”を見つけるのが体験の醍醐味です。

写真:トレジャーハンティングの様子
写真:焼き物を持つ手元

制限時間は90分。5,500円エリアと11,000円エリアがあり、どちらも予め用意されたカゴの持ち手がきちんと閉じるまで好きな器を選ぶことができます。5,500円コースは昭和40年から50年頃の家庭用食器が中心。白地に青の絵付のものや、レトロな形の器などシンプルなものが多い印象です。一方、11,000円コースは昭和60年から平成の割烹食器をメインにしながら、現行品が見つかることも!「いいものが紛れているので、社員から『社長は見てはダメ!』と言われているんですよ」と徳永社長。

写真:ざるの上に並べた器

今回はじっくり吟味のうえ、11,000円コースから約17点のうつわを選びました。「敷居が高いイメージのある有田焼ですが、まずこれを入口に使って良さを感じてもらえれば。自由な発想で有田焼を楽しんでください」という徳永社長の心意気を感じるお得な体験でした。

写真:アウトレットショップ店内の様子
写真:アウトレットショップ店内の商品ディスプレイ

トレジャーハンティングのほか、アウトレットショップで買い物を楽しむこともできます。こちらもお得な価格で食器を購入できるので、欲しいものが決まっている方にはうれしいですね。

<幸楽窯>
住所:佐賀県西松浦郡有田町丸尾丙2512(リンクをクリックするとマップが開きます)
電話:0955-42-4121
営業時間:8時から17時、土・日10時から16時
定休日: なし ※年末年始休みあり
駐車場: 30台

体験プログラム<トレジャーハンティング>

開催日時: 10時から16時(最終受付15時) ※予約無しでも可。アウトレットショップ併設。
受付人数:1日100名まで
所要時間:約90分
体験料金:5,500円/1バスケット、11,000円/1バスケットの2コース

人気のおすすめ体験・観光予約サイト「VISIT佐賀県」

このほかにも、佐賀県では観光名所を巡るプランや観光ガイド、体験などが盛りだくさん。おでかけ前にチェックして、もっとよくばりに佐賀県を楽しんでください!

【体験】幸楽窯 工場見学&トレジャーハンティング

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    柴田愛梨

    愛知県岡崎市出身。お試し移住などを体験し、佐賀の虜に。
    現在は海の近く唐津市に拠点を置き、フリーランスで活動中。歴史、やきもの、温泉、おいしい食べ物…そして人の温かさ。佐賀の魅力は数え切れないほど。楽しみながら魅力発信をしていきます!

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    中島丈晴

    佐賀を訪れる人は街や町、スポットを創り上げる人々とそこに至るストーリーに共感されているのではと感じています。
    『佐賀経済新聞』運営や『佐賀バルーンフェスタ』広報等を担う中でふと気づく、佐賀の人やスポットのストーリーをお伝えしていきます。

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    佐賀県神埼市出身。趣味は、新店めぐり、山登り、映画&ドラマロケ地巡礼。神埼そうめん、北方ちゃんぽん、日ノ隈山山頂からの田園風景が大好き。佐賀の温かい人々との出会いを大切に、地元の魅力を再発見・新発掘できる旅を提案します!

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    好奇心は人を生かす!楽しそうなことには前のめりで向き合いたい、福岡県出身佐賀市在住のサラリーマンです。趣味はミュージアムめぐり。好きな恐竜はステゴサウルス。佐賀で見つけたオモシロ案件を皆さんへお伝えします!!

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    あやか

    佐賀生まれ、理系大学生!食べることやお出かけが好きで、Instagramで佐賀の美味しい情報を毎日発信中。趣味はヨガ、好きな食べ物はプリンとお寿司。ライター初挑戦中ですが、私の記事が佐賀を知る、より好きになるきっかけになれたら嬉しいです!

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    佐賀との県境で育った福岡県在住ライター。虫嫌いで運動音痴なのにキャンプ、サイクリング好き、休日は幼い娘と公園&食べ歩き。私の愛する佐賀は、佐賀平野の田畑を走る神埼北茂安線の風景。小麦畑、水田、収穫後の地平線と、季節ごとの変化がたまりません。

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    高原陽子

    広い空、新鮮な食材、おいしい空気。佐賀はどこを訪れても元気をもらえます。佐賀生まれ、佐賀育ちのフリーライター。海外取材のときは、必ず佐賀の米と佐賀海苔をスーツケースに詰めていきます。一番かわいいと思う生き物は有明海に生息するムツゴロウです。

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