素朴さの中に感じられる独特の渋みや力強さで、多くの焼き物ファンを魅了する「唐津焼」。工芸品として見て楽しめる作品のほか、お茶や料理、花などを引き立てる「用の美」を備えた日常品も人気です。日々の暮らしに取り入れることで、食卓がグンとオシャレに、リッチになる魔法の器。そんな唐津焼が生まれる窯元の作陶部屋におじゃまして、オリジナルの作品づくりはいかがでしょう。プレミアムな体験を通じて、より深く、より身近に唐津焼に触れることができるはず。
赤獅子像がお出迎えしてくれるJR唐津駅
JR唐津駅の北口には、唐津神社の秋季例大祭「唐津くんち」の一番曳山「赤獅子」の像が鎮座。なんとこれも唐津焼でつくられたもので、高さ約3.5メートル、重さ2.1トンと、唐津焼のなかでも最大級の作品なのだそう。
今回の作陶体験をする「中野陶痴窯」へは、駅から歩いて10分ほど。南口から向かいます。
赤獅子像を手掛けた名窯「中野陶痴窯」
唐津市にある約70の窯元の中でも、長い歴史を誇る中野陶痴窯。江戸時代の安政年間に開窯し、唐津藩の御用窯として認められた由緒ある窯元です。代々、置物などの造形物も手掛けているそうで、実は唐津駅で出会った赤獅子像も中野陶痴窯によるもの!
老舗の暖簾をくぐるとあってちょっと背筋を伸ばしつつ店内へ。ギャラリーのような空間には、緻密な技を施した置物や、お茶道具、さまざまな器が並んでいます。
そこに、今回の体験を手ほどきしてくれる中野政之さんが登場。陶芸家と聞いて勝手に思い描いていた厳格なイメージとはかけ離れた、優しく穏やかな雰囲気に緊張もほどけていきます。
政之さんは大学で造形を学び、祖父である4代目中野陶痴に師事してこの道に入ったそう。現在は父である5代目中野陶痴と共に窯元を守っています。
まず案内してくださるのは、初代が江戸時代後期につくったという大きな登り窯。斜面にドーム状の部屋が連なった形状をしている「連房式(れんぼうしき)登り窯」と呼ばれるもので、唐津の窯でも最大級を誇るのだとか。これだけ大きいと、薪を使って窯内の温度を上げていくには大変な労力と時間、技術が必要なことがわかります。今でも、美術品や昔ながらの唐津焼はこの登り窯で焼き上げるそうですよ。
続いて政之さんの作陶場へ。ナチュラルで居心地のいいプライベート空間といった感じで、なんだかとても落ち着きます。
初心者でもチャレンジしやすい「手びねり」体験
中野陶痴窯では「手びねり」または「電動ロクロ」による作陶体験が可能です。時間内であれば3作品までつくることができるという寛容さ。器が大きいとはまさにこのこと!
参加する際は汚れてもいい服装を用意し、爪は事前に切っておくようにしましょう。
手びねり体験では、土を平らにしてお皿をつくったり、ひも状に伸ばした土を積み上げてお茶碗にしたり、粘土遊びのような感覚で作品づくりを楽しめます。作陶が初めての方や小さなお子さんにもおすすめですよ。
土に触れているだけで自然と気持ちも落ち着いて、リラックス効果も実感できます。
指で挟んで厚みを揃えたり、丁寧に表面を整えたり、夢中で作業に没頭…。
「焼き上げる過程で少し小さくなるので、実際のイメージより1.2倍大きくつくるのがポイントです」と政之さん。
ちょっと本格的に挑むなら「ロクロ」体験
「作陶」と聞くと、この電動ロクロをイメージする人も多いのではないでしょうか。一見難しそうですが、心強いサポートがあるので思い切ってトライしてみましょう!
電動ロクロは足元のペダルを踏むと回転する仕組みなので、ヒールのある靴は避けた方がよさそう。今回はスイーツを乗せるお皿をイメージして、いざスタート。厚みのある土を両手で挟み、ゆっくりと引き伸ばしていきます。慎重に慎重に…。
あぁ!一瞬気がゆるんだのか、失敗…。土に触れる力加減や回転スピードの調整に、なかなかてこずります。
でも、失敗したって大丈夫。「手だけを使うとブレてしまいがちなので、しっかりと脚を固定して作業するといいですよ」と、政之さんのリカバリーサポートで何度だって挑戦できます。
優しいアドバイスのおかげで、理想のスイーツ皿に仕上がりました。達成感に満たされる瞬間です。
最後の仕上げはプロの手で。手元に届くのが待ち遠しい!
手びねりの器は温もりのあるやわらかいフォルムに。ロクロを使えば手びねりに比べて薄くなめらかな表面になります。それぞれに味があって、どちらでつくるか迷いますね。
完成作品は後日発送となります(要送料)。色味は見本の器を参照に、白(粉引)・黒・灰色(無地)の3種類から好きな色を選びましょう。削り仕上げの作業も施していただけるとのこと、出来上がった作品が届くまでが楽しみです。
作陶の後は、中野陶痴窯の器で供されるスイーツタイム。実際の使用感を味わうことができるので、食卓のイメージも膨らみます。
至れり尽くせり、盛りだくさんの体験で、すっかり唐津焼に魅せられました。
「唐津焼ってハードルが高いと思われがちですが、こうして現場を見てもらうことで価値を理解し、親近感を持ってもらえたら嬉しいです」と政之さん。
多少高価でも、大切に長く使える器を選ぶことで暮らしが豊かになることを実感。作り手の想いに寄り添いながら、自分だけの器を生み出す作陶体験で、唐津ならではの思い出でをつくってみませんか。
スポット情報(2023年11月16日現在)
スポット名 | 中野陶痴窯 |
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営業時間 | 8時から18時30分 |
住所 | 佐賀県唐津市町田5-9-2 |
電話番号 | 0955-73-8881 |
定休日 | 1月1日 |
アクセス | JR唐津駅から徒歩10分 |
備考 | 「中野陶痴窯 3点まで作れる唐津焼体験」 参加費:手びねり体験4,000円 ロクロ体験 6,000円 所要時間:約1時間から2時間 開始時間:(1)10時から (2)14時から 対象期間:2023年4月1日から2024年3月31日 除外日:年末年始(12月28日から1月5日) ※諸事情により急きょ休業の場合あり 催行人数:2名から6名 |
ホームページ | 中野陶痴窯(外部リンク) |
中野陶痴窯
「呼子でイカ」の新たな楽しみ方を。「木屋 さかな市場」
唐津に来たなら、ぜひ海沿いの呼子エリアへも足を延ばしましょう。唐津市街地から車で30分ほどの呼子は、全国に名を馳せるイカの町。名物の活造りを味わいに全国からたくさんの人が訪れますが、「定番だけじゃ物足りない」という方のために、イカの達人から学ぶ捌き方体験をご紹介します。
向かうのは、呼子で海産物の販売を行う創業120年の老舗「木屋 さかな市場」。204号線の愛宕神社交差点を北方向へ曲がって右側、朝市通りに面した場所にあります。
玄界灘の旬の魚介が市場価格で購入できるとあり、料理人も仕入れに利用するという人気店。新鮮さは折り紙つきで、お買い物も楽しめますよ。
ここでは、呼子のイカを使った「イカ刺し」作りを体験できます。ベテランのスタッフから捌き方を教わった後は、鮮度抜群のイカをその場で味わいましょう!
ただし、イカの入荷状況は時期によって異なります。また繁忙日には開催できないこともあるので、参加日の10日前までに必ず予約をして、状況を確認するようにしてくださいね。
スポット情報(2023年11月16日現在)
スポット名 | 木屋 さかな市場 |
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営業時間 | 8時から12時 |
住所 | 佐賀県唐津市呼子町呼子3764-31 |
電話番号 | 0955-82-1991 |
店休日 | なし |
アクセス | JR唐津駅から車で25分、長崎道多久ICから車で約60分 |
備考 |
「木屋さかな市場 イカ刺し作り体験」 |
ホームページ | ホットペッパー詳細ページ(外部リンク) |