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写真:黄金の茶室全体

400年の時を越えて茶の湯の文化を知る『黄金の茶室』

あそぼーさが編集部
2023年03月07日

豊臣秀吉ゆかりの「黄金の茶室」。今、佐賀で注目されている復元スポットを訪ね、歴史のロマンをたどる旅をご紹介します。

写真:黄金の茶室全体
写真:佐賀県提供

かつて肥前名護屋城で豊臣秀吉が使った「黄金の茶室」が、400年の時を超えて再び名護屋城博物館内で公開されています。豪華絢爛な桃山文化を代表する「黄金の茶室」は、名護屋城で行われた茶会に参加した博多の商人の日記をもとに忠実に再現されています。その史料によれば、広さは三畳、柱も壁も金で包まれ、障子や畳には赤い織物が使われていたほか、茶道具もほとんどが金だったそうです。まさに秀吉の権力と財力を象徴する茶室です。

写真:黄金の茶器
写真:佐賀県提供

それにしても、秀吉はなぜこのような茶室をつくったのでしょうか?

初めてこの茶室が歴史上に登場するのは、名護屋城に運ばれる6年前。きっかけは、天皇へのおもてなしでした。関白に任命された秀吉は、その返礼として時の正親町天皇(おうぎまちてんのう)にお茶を献じようと、組み立て式の茶室を御所に設けました。それも赤い障子や畳を採用した、今まで誰も見たことがない黄金の茶室です。茶室を目にした公家たちも「とても驚いた」「言葉にならない」と感嘆の言葉を残しています。

秀吉が関白となった頃は、まだ千利休と仲が良かった時代。もしかすると、この茶室の設計には、侘び茶を大成した利休も携わったのでは?と考える方もいらっしゃるそうです。❝侘び❞とは、できる限りのおもてなしをすること。簡素であることが侘びではないということを考えれば、財力を持つ秀吉はらではのおもてなしと考えてもおかしくありません。

その後、名護屋城に運ばれた「黄金の茶室」は、朝鮮出兵のために集まってきた大名たちを一堂に集めた茶会や、外国使節の応接に用いられました。

豊臣秀吉は、「黄金の茶室」だけでなく、竹で作った簡素な四畳半の草庵茶室を名護屋城に設けた記録があります。その場所は、名護屋城山里丸(現在の広沢寺(こうたくじ))。天正20(1592)年11月14日から4日間(現在の12月中旬)にわたって行われた草庵茶室の茶会には、伊達政宗や上杉景勝など多数の大名たちが招かれています。

秀吉も「黄金の茶室」を毎日使うわけではなく、普段は自然に囲まれた趣のある場所で茶の湯を楽しんでいたようです。大名たちもそれぞれの陣屋に茶室を設けており、前田利家は、里山深い風景をわざわざ陣屋に再現したという記録が残されているとか。このほかにも、秀吉や大名たちは名護屋で「能」にとても熱中しているほか、出兵によってもたらされた新たな焼きもの技術や文化が、佐賀の地から各地に広がっていきました。

写真:黄金の茶室の内観
写真:佐賀県提供

今回復元された「黄金の茶室」には、総計16,500枚もの金箔が使われています。金の質感はそのままに、柔らかく鈍い光沢が美しい幻想的な茶室内で、抹茶を楽しむ有料の体験プログラムも不定期で開催されています。詳しくはWEBサイトをチェックしてみてください。

写真:貸出しているタブレット
写真:VRを使った散歩の様子
写真:名護屋城跡

博物館を見学したあとは、隣接する名護屋城跡にも是非足を運んでみましょう。

天正19(1591)年10月からわずか半年ほどで築かれたと伝わる名護屋城は、当時は大阪城に次ぐ広さを誇っており、国の特別史跡に指定されています。また、周囲には徳川家康や伊達政宗など全国の大名が陣を構えていました。現在、建物は残っていませんが、博物館で無料で貸出しているタブレットを使ったVR(再現映像)を通して、壮大な名護屋城や大名の陣屋の姿を現地で見ることができます。

<佐賀県立名護屋城博物館>

住所:佐賀県唐津市鎮西町名護屋1931-3(リンクをクリックするとマップが開きます)
電話:0955-82-4905
営業時間:9時から17時
休 館 日 :月曜(祝日の場合は翌平日)、2022年12月20日から工事のため休館、2023年3月21日から再開館予定
駐 車 場 :あり
入 館 料 :無料 ※特別展は有料
ホームページ: 佐賀県立名護屋城博物館(外部リンク)

☛<Check>名護屋城博物館が『佐賀・長崎を巡るデジタルスタンプラリー』のスポットです。

佐賀県立名護屋城博物館・名護屋城跡

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